今日のテーマはいまさら聞けない、建設業の退職金制度について。
皆さんは、毎月どれだけ積み立てて、40年積み立てたらどれくらい受け取れるのか、知っていますか?
建退共っていうのに入ってるって聞くけど、
40年も勤めてれば1,000万円はもらえるよね、、、?
くらいの感覚の人がほとんど、ではないでしょうか。
老後生活のことを考えるにはまず退職金の受取金額の把握は必須です。
知らないと、いざ退職したときに、なかなか引退にできずに体を壊すまで働かなければならなかったり、思ったより金額が少なく、「こんなはずじゃなかった。」とならないためにもこの記事を読むことを強くおすすめします。
建退協(建設業退職金共済制度)と中退共(中小企業退職金共済制度)の比較と、実際いくらもらえるのか。
その実態について触れていこうと思います。
建退共
受取金額
働いたことになります。
この数字を建設業退職金共済事業本部のホームページの退職金試算に310券に9100日を記入すると
これはあくまで目安なので、これより少ない人がほとんどかと思います。
正直私は「意外に少ないな」と思いました。
退職後の老後資金に退職金をあてにしすぎると痛い目に合うかもしれませんね。
受取り方法
建退共という退職金制度の受取方法は、今の会社を辞めた時でも定年過ぎたらでもありません。
明記されている公式請求事由がこちらです。
請求事由 | 退職金請求に必要な証明 |
---|---|
1:独立して仕事をはじめた | 最後の事業主又は事業主団体の証明 |
2:無職になった | 最後の事業主又は事業主団体の証明 |
3:建設関係以外の事業主に雇われた | 新しい事業主の証明 (雇用証明書も可) |
4:建設関係の事業所の社員や職員になった (自らが事業主又は役員報酬を受けることになった場合も含む。) | 現在の事業主の証明 (現在の事業主の証明及び商業登記簿謄本等) |
5:けが又は病気のため仕事ができなくなった | 最後の事業主の証明又は医師の診断書 |
6:満55才以上になった | 住民票 |
7:本人が死亡した | 戸籍謄(抄)本の原本(被共済者と請求人との続柄等を証明するもの)、請求人の住民票、被共済者の住民票除票 |
建退共とは
建退共制度は、建設業の事業主が当機構と退職金共済契約を結んで共済契約者となり、建設現場で働く労働者を被共済者として、その労働者に当機構が交付する共済手帳に労働者が働いた日数に応じ共済証紙を貼り、その労働者が建設業界の中で働くことをやめたときに、当機構が直接労働者に退職金を支払うというものです。
建退共がある理由
建設業で働く労働者は現場や事業所を頻繁にかえながら働いていることが多いため、事業所ごとの対応では十分な適用が受けられないことが多く、特に退職金については就労期間の問題などから個別企業ごとの支給対象とはなりにくいという面があります。
また、『一人親方』と呼ばれる、事業所に雇用される形式での就労ではなく、自分で仕事を請けて働く人達も数多くおり、実態としては他の現場労働者と変わらない就労内容であるにもかかわらず、さらに厳しい状況に置かれています。
建設業退職金共済(建退共)とは、このような問題点を解消し、建設現場で働く労働者・一人親方の皆さんにしっかりと退職金が支給されるよう、国によって設立された退職金制度です。
引用 全建総連より
つまり、
現場毎に働く場所が違ったり、仕事がないときに失業したりと、社会保険の確立が困難だから国から季節労働者の特性に合わせた退職金制度を作ったよ。ってことです。
建退共の資産運用
資産運用の基本方針とは、「業務上の余裕金の運用に関する基本方針」であり、機構はこれに沿って運用しなければならないこととされています。
基本方針は、厚生労働大臣が任命した委員で構成される資産運用委員会の議を経て、理事長が決定しています。
令和元年の運用先はほとんどが債権で
総資産が9865億円
普通預金が204億円
運用実績が+0.32%です。
この規模になると、1%の変動で98.6億円の変動なので、現実味がありませんね。
民間の共済より安全
建設業で働く人たちの福祉の増進と雇用の安定を図り、ひいては、建設業の振興と発展に役立てることをねらいとするものです。
退職金は、国で定められた基準により計算されて確実に支払われますので、民間の退職金共済より安全かつ確実な制度です。
制度に関する手続きは、各都道府県の建設業協会にある都道府県支部で行い、しかも、簡単にできます。
中退共
受取り金額
建退共の計算方法と同じ条件にするために月の掛け金を8000円で計算します。
※建退共と同じ条件は310券を週6勤務で働いた場合、月に26日とします。
26(日)× 310=8060円となります。
55歳まで35年間勤め続け、月8000円積み立てした場合は、404万円になりました。
中小企業退職金共済事業本部のホームページの退職金額表から参照
建退共も少ないと感じましたが、中退共はもっと少ない結果になりました。
この結果を踏まえて、自分の会社の中退共の掛け金の把握が重要だということがわかります。
思い切って、会社に現在の掛け金など聞いてみましょう!
令和2年12月の中退共の統計資料によると、
実際の平均月額掛け金の割合が7600円でした。
5000円の掛け金が56%と半数以上がこの金額です。
中退共に入っているからと、退職金を当てにして老後の資産形成をするのは極めて危険です。
受取り方法
また次の場合も対象です。
- 定年退職
- 役職がつく
- 本人が死亡した時
役職がつく際は会社都合の一時退職をいう形になるため、退職金を受け取る権利があります。
退職金の請求の流れは、
本人死亡の場合は遺族でなければならない
中退共とは
中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。
中退共制度をご利用になれば、安全・確実・有利で、しかも管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。
中退共がある理由
中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的としています。
中退共の資産運用
令和元年の運用先はほとんどが債権で
総資産が4兆9362億円
普通預金が1047億円
運用実績は、+0.32%です。
このコロナ過でマイナスを出していないのは、お堅い債権100%の賜物でしょう。
この規模になると、1%の変動で493億円の変動なので、こちらも現実味がありませんね。
建退共と中退共の比較
受取金
建退共は、20歳から55歳まで健康で働き続けたとして、
513万円になりました。
中退共は、20歳から55歳まで健康で働き続けたとして
404万円になりました。
建退共は失業期間2か月を設けていますが、中退共は1年間働き続けた場合で計算していますので、中退共の方がコスパが悪いことがわかります。
退職金制度を調べているうちに様々な注意点が発見したので、また別の記事で紹介いたします。
各資産状況
建退共 | 中退共 |
---|---|
総資産が9865億円 普通預金が204億円 運用実績は、+0.32% | 総資産が4兆9362億円 普通預金が1047億円 運用実績は、+0.32% |
運用比率は
建退共が48.35%
中退共が47.15%で
建退共の方が積極性があります。
中退共は掛け金に対して支払額が少ない結果がでたので、資産の蓄えがあるのは必然なのでしょう。
結論
建退共も中退共もどちらも健全で非常に豊かな資産があるため、潰れるようなリスクはほとんどないでしょう。
建退共と中退共の違いや受け取り金額の違いを把握できたことによって、老後の資産形成の参考になればなと思います。
▼お悩み相談受付▼